花木英典のブログ

映画、筋トレ、ランニングについての備忘録

アントワーヌ・ドワネルの冒険5部作/20100627

 今日は、公休日。この1週間ずっと日勤だった。寝不足だ。ワールドカップを見ていたわけではない。サッカー興味なし。フランソワ・トリュフォーの『“アントワーヌ・ドワネル”シリーズ5部作』を1週間かけて鑑賞した。「フランソワ・トリュフォー~14の恋の物語~DVD‐BOXⅠ(4枚組)」を、ずっと前に購入して放置していたやつである。
 「“髪切る? 着替える? 恋をする!”‐トリュフォーが愛した映画、恋、女優たち、そのすべてが蘇る。」と書いてある。
 話の内容は、アントワーヌ・ドワネルというひとりの男の少年期から30代前半までの成長物語。ドワネル役をジャン=ピエール・レオーが彼自身の成長に合わせて、撮影されている。

フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[I]

 


 第1作目「大人は判ってくれない」
 両親の愛を知らずに育った12歳のアントワーヌ・ドワネル。家庭でも学校でも自分の居場所を見つけることのできない彼の行動は常に周囲と行き違う。遂には少年鑑別所に送られてしまった彼は逃亡し、一人海に向かうのであった…。
 トリュフォーの長編デビュー作。自伝的要素が強い。カンヌで監督大賞をとった作品。実は僕は鑑賞する前、5部作の中でもっとも興味のなかった作品だった。だって12歳の男の子の話なんて、今の自分には興味のないことだし、よっぽど飛ばしで次の作品から鑑賞しようかとも思ったのだが、大きな間違いだった。5部作のなかでこれが1番良かったかもしれない。さすが、よく名作ランキングなんかで、必ずと言っていいほどランクインされているだけのことはあると思った。
 学校さぼって、パリの街をほっつき回る。教師に親が死んだと大嘘をつく。家のなかでボヤを起こす。家出をして牛乳盗む。友達の家で葉巻を吸い、ワインを飲んでゲームに興じる。父親の会社のタイプライターを盗んだのがばれて、両親にも見放され、少年鑑別所に送られる。鑑別所でサッカーやってる最中に脱走する。
 悪ガキ、ドワネル君、君は最高だ。

 

第2作目「アントワーヌとコレット
 17歳になったアントワーヌ・ドワネルは、レコード会社に勤めている。音楽会で出会ったコレットに夢中になる。彼女の両親に気に入られ、たびたび家に呼ばれるアントワーヌだったが、コレットは家を訪ねた彼に構わず、他の男友達と出かけてしまう。
 まだ恋愛の仕方も判らない青年のほろ苦い恋を描いた短編。
 「ドワネル!あかん!ナニシテンネん!そこでがっつくなよ!」
 いつの間にか、彼を応援している自分がいる。彼の行動を見ていると、自分にも思い当たるふしがあるからだろうか?

 第3作目「夜霧の恋人たち
 失恋のショックで軍隊に入ったものの、職務怠慢で除隊になったアントワーヌは、自分の気持ちを確かめるために、もはや愛情の冷めた昔の恋人クリスティーヌを訪ねる。(いつの間に、こんな素敵な恋人ができているのかが不思議なのだが…)
 彼女の両親の紹介でホテルのフロントの職を得たがクビになり、探偵をやったのだが自分には向いていないと辞めて、新しい仕事をさがしているアントワーヌ。一方クリスティーヌは、テレビを壊し修理屋を呼んだ。そこに現れたのはなんとテレビの修理屋に就職したアントワーヌだった。懐かし気に会話を交わす2人は、やがて寝室へと姿を消していった。
 アントワーヌって、フリーター、ニートの走りのような気がする。でも悲惨さやみじめさは一切ない。自分の生きたいように生きる、それがドワネル君なんだろう。
 探偵をしているときに、潜入先の靴屋の社長夫人とアヴァンチュールがあったりして、大人の恋を知り始めたアントワーヌ・ドワネル君でした。

 第4作目「家庭」
 アントワーヌとクリスティーヌは結婚し、パリのアパートで生活している。
 クリスティーヌはヴァイオリンの先生をしていて、アントワーヌはヒモ同然の暮らし。なんとか就職できて、子供もできて慎ましいながらも仲睦まじい幸福な暮らしぶり。ところがアントワーヌは会社を訪れた日本人キョーコといつしか愛し合うようになる。
 やがてクリスティーヌはその事実を知り、アントワーヌは口論の末、家を出てしまう。
 それから1年。アントワーヌは、キョーコとの恋愛にも冷め、アパートには昔通りの生活が見られるようになった。今は、彼らは心から幸福そうに見えるのだが…。
 外からは平穏に見える家庭の本質を鋭く描いた一遍。
 就職の際の、社長との英語でのやりとりが面白い。全然噛み合っていないのだが、なぜだか採用されてしまう。ドワネル君はほんと、行き当たりばったり、出たとこ勝負、風任せです。キョーコとの恋愛(不倫)関係にしてもそう。(フランス人男性から見た)日本人女性のエキゾチックな魅力に心魅かれたんだと思うけど、話も生活習慣も全くかみ合わず、案の定、アントワーヌとキョーコの関係は破綻する。僕は結婚したことがないから実際のところはようわからんけど、『アホやな男って』と、自分は男であることを括弧に入れて、そう思った。

 第5作目「逃げ去る恋
 30歳を過ぎて、妻と離婚したアントワーヌは、初恋の女性コレットと偶然の再会をした。二人は度々会うようになるが、彼はほかの女性とも恋愛を重ねていた。
 そんな中アントワーヌは、あることをきっかけに自らの過去を深く考えなおすことになるが、一方のコレットは、若い男性との新たな恋を見つけていた。アントワーヌもまた新たな人生を歩んでいくのだった。
 アントワーヌ・ドワネルものの完結編。物語と共に成長した出演者が総出演する。前作のシーンがフラッシュバックしたりして、物語は進行するのだが、ちょっと失敗気味の作品かな。だからどうしたと言いたくなる。アントワーヌの新しい恋人、サビーヌ役の女優ドロテーが、魅力的でした。